Mylo™

ステラ マッカートニーは、2001年のブランド設立当初から、レザー、フェザー、ファー、スキンを一切使用しないことを約束し、動物性レザーの代替素材への投資と開発を継続的に行っています。2022年には、無限に再生可能な菌類の根を張る菌糸体(マイセリウム)から作られるヴィーガン素材、マイロ™(Mylo™)から作られた世界初のラグジュアリー バッグを発表しました。この先駆的な素材革新は、私たちの長期的なパートナーシップを結んでいるボルトスレッズ社(Bolt Threads)の研究室で栽培されたものです。

ボルトスレッズ社とマイロ™

多くのレザーの代替素材とは異なり、マイロ™は再生可能な菌類の菌糸で作られており、化石由来の合成繊維からの脱却を目指す私たちのミッションをさらに推進しています。また、全ての素材製造工程において、アメリカと欧州連合(EU)の認証を取得し、 完全な透明性を保ち、地理的フットプリントを最小限に抑えています。

マイロ™は、どのようにして作られるのか?

ボルトスレッズ社の科学者たちは、5,000回以上の培養を繰り返す中で、菌糸体をマイロ™へと変化させました。バイオベースで、エコテックス®スタンダード100(OEKO-TEX® STANDARD 100)認証を得た、動物性レザーに代わる素材は、柔らかく、しなやかで、環境への影響を可能な限り軽減するようデザインされました。 牛の飼育には膨大な資源と年月を必要としますが、マイロ™の製造に使用される菌糸体は、100%再生可能エネルギーを利用した垂直農業施設内で2週間以内に栽培されます。


マイロ™の原料となる真菌の細胞は、おがくずや有機物と混合されます。緻密な菌糸網が基質から立ち上がり、数週間で柔らかい泡状のマットを形成します。成熟した菌糸は収穫され、残った基質は堆肥化され土に帰ります。


マイロ™は、85%が菌類の菌糸、15%がリヨセル(再生可能なセルロース繊維)を使用し、耐久性を高める水性ポリウレタン(PU)で仕上げられています。グリーンケミストリーと社会的、環境的影響を最小限に抑えるための共同コミットメントの一環として、マイロ™はブルーサイン®(bluesign®)認証染料を使用し、LWG(Leather Working Group)のゴールドランクに格付けされたタンナーで着色されています。

革なめしの工程は、皮に含まれるコラーゲンやタンパク質の繊維を安定させ、生分解を止める作業です。そうでなければ、革はクローゼットの中で腐ってしまうでしょう。

PETA

マイロ™は、まだライフサイクルの最後に生分解することはできませんが、私たちは環境への影響を減らすために常に製造工程をモニタリングし、測定し続けています。完成した動物皮革の場合、有毒化学物質で大量に処理され、生分解することはできません。

 

 合成樹脂やプラスチックの使用を減らし、除去するために、私たちはボルトスレッズ社と共に、マイロ™の組成を改善する旅を続けています。 そして、私たちのサプライ チェーンにおける透明性を維持しています。

  • 菌糸体は、自然界に豊富に存在し、無限に再生可能な菌類の根のようなシステムです。
  • 森の木の下や庭に生えているキノコの下にあります。
  • 菌糸体は、その複雑な格子のネットワークが地表に張り巡らされ、地球の全てをつなげているのです。

マイロ™がファッションの未来である理由

2017年、ステラ マッカートニーはボルトスレッズ社の先見性のある科学者やイノベーターたちとパートナーシップを結びました。彼らは、おがくずや木くず、空気、水だけを用いて垂直農業施設で菌糸体を育て、自然界に存在する成分を基に、木の下で起こる菌糸体が最もよく成長する仕組みを研究室で再現しています。 


マイロ™は、その製造方法によって、他の動物性レザーの代替素材と比較して、より耐久性に優れ、より洗練された印象を与えます。菌糸体は泡状の層として採取され、コラーゲンの微細構造を模倣しているため、合成素材にはない温かみと柔らかさのある感触が得られます。  



マイロ™は、素材の高級感を守り、さらに高めるために、高度な技術を持つ職人によって仕上げが施されます。これはグリーンケミストリー(Green Chemistry)の原則に基づき、有害な化学物質を使用せずに行われます。 



レザーの代替素材に込めた考えとは

残酷で非倫理的、非人道的なだけでなく、動物皮革の生産が環境や社会に与える影響も非常に大きいです。畜産業は世界の温室効果ガス排出量の約19%を占め、熱帯雨林の破壊を促進しています[1]。


WWFによると、アマゾンの森林破壊の80%は、牛肉と皮革製品用の牛の飼育が原因だと言われます。2020年だけで、世界の皮革生産のために約14億頭の動物の皮革が使用されました。これは地球上の人口の5人に1頭の割合に当たります[2]。


革のなめし工程は発展途上国に委託されることが多く、その人々は安全や保護がほとんどない劣悪な環境で働かなければならず、有害で発がん性のあるなめし剤にさらされています。バングラデシュでは、革なめし工場で働く人の90%が50歳未満で亡くなっています [3]。  


クルエルティフリーな動物皮革の代替素材について.

女性がリードするブランドとして、私たちは常に際立ってきました。私たちはエコ・ウィアード(eco-weirdos)であることを誇りに思い、ファッションのために動物が犠牲になることのをなくすという私たちの使命に、あなたも加わってくださることを願っています。

X ステラ

マイロ™は、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」のうち、どの目標をサポートしているのでしょうか?

  • 8. 働きがいも経済成長も
  • 9. 産業と技術革新の基盤をつくろう
  • 12. つくる責任 つかう責任

1 Agricultural subsidies and global greenhouse gas emissions (https://www.nature.com/articles/s41467-021- 22703-1


2 ‘What are the biggest drivers of tropical deforestation?’, WWF. (https://www.worldwildlife.org/magazine/issues/summer-2018/articles/what-are-the-biggest-drivers-of-tropicaldeforestation)


3 Bangladesh's toxic tanneries turning a profit at an intolerable human price | Employment | The Guardian